マカオ政府、12年連続で市民へ現金配布…支給額5年ぶり増の14.1万円=2019年度施政方針に「富の還元」関連予算2635億円分盛り込む

世界一のカジノ売上を誇る都市として知られるマカオ。カジノ税という潤沢な財源を抱えるマカオ特別行政区政府は、インフレ対策や富の還元を理由に2008年から市民に対する現金配布を毎年実施している。

マカオ特別行政区政府の崔世安(フェルナンド・チュイ)行政長官は11月15日、マカオ立法会で来年度(2019年1〜12月)施政方針演説を行い、現金配布を継続実施する方針を示した。12年連続実施となる来年度の支給対象は今年末時点で有効なマカオ特別行政区永久性居民(永久居留権保有者)及び非永久性居民(臨時居留権保有者)IDカードの保有者(所得や年齢の条件はない)で、支給金額は前者が1万マカオパタカ(日本円換算:約14.1万円)、後者が6000マカオパタカ(約8.4万円)とした。支給額は5年ぶりのアップとなり、前年からそれぞれ11.1%増。例年、7月上旬から9月中旬にかけて銀行振込または小切手で一括支給される。

現金配布のほか、65歳以上の高齢者へ配布される敬老金が前年から据え置きの9000マカオパタカ(約12.6万円)だが、高齢者対象の養老金が5.2%増の月額3630マカオパタカ(約5.1万円)を13ヶ月分、父母同時申請可能な出産補助金が5.2%増の5260マカオパタカ(約7.4万円)、教科書補助が幼稚園児2300マカオパタカ(約3.2万円)、小学生2900マカオパタカ(約4.1万円)、中学生(日本の中学・高校に相当)3400マカオパタカ(約4.8万円)にそれぞれ100マカオパタカずつ増額。所得税についても前年と同じく減税3割/控除14万4000マカオパタカ(約202万円)分、返金6割/最大1万4000マカオパタカ(約19.7万円)を維持。また、個人年金口座への追加資金注入、医療クーポン券、家庭用電気料金及び上下水道料金の補助、所得税減税、交通系ICカード利用時のバス運賃の割引といった施策についても継続実施される方向。

政府の試算によれば、65歳以上の高齢者が受け取ることができる金額は敬老金、養老金、現金配布、個人年金口座への注入金を合わせて年額で7万3190マカオパタカ(約102.8万円)、平均月額6099マカオパタカ(約8.6万円)になるとのこと。

マカオの来年度予算案における居民への富の還元に関連する歳出の合計額は前年から45.4%増の187.47億マカオパタカ(約2635億円)。

2019年度施政方針演説を行うマカオ特別行政区政府の崔世安行政長官=2018年11月15日(写真:GCS)

2019年度施政方針演説を行うマカオ特別行政区政府の崔世安行政長官=2018年11月15日(写真:GCS)


マカオ特別行政区政府の2019年度施政方針に関する資料の配布もスタート=2018年11月15日(写真:GCS)

マカオ特別行政区政府の2019年度施政方針に関する資料の配布もスタート=2018年11月15日(写真:GCS)

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