日本を拠点に活動するマカオ出身の芸術家シーズン・ラオ氏がマカオ理工学院で個展開催…インスタレーション作品『氷蓮図』など出展
- 2019/5/14 14:00
- 澳日関係
日本を拠点に活動するマカオ出身の芸術家、シーズン・ラオ(劉善恆)氏のマカオ理工学院での個展がきょう(5月14日)から始まった。
今回の展覧会は、マカオ特別行政区成立20周年とマカオ理工学院校友会(同窓会)創設20周年という2つの節目を記念して開催されるもので、シーズン・ラオ氏が招待された。13日に行われたオープニングセレモニーでは、マカオ理工学院の副学長、事務総長、芸術学部長及び政府教育青年局長、芸術家らが参加してテープカットが行われた。
マカオ理工学院はマカオで最も長い歴史を持つ芸術系学部を擁する高等教育機関として知られる。今回の展示会場は明徳樓ホールで、襖大の2枚の絵と石砂で構成されるインスタレーション作品『氷蓮図』を中心に構成される。『氷蓮図』は今年の冬にラオ氏が日本の東北で導かれるように出会った光景、凍った池の上で自然に還りゆく蓮の姿が作品のテーマとなっているという。作家が作品制作にあたって常に追い求める東洋哲学は、作品のモチーフに用いられる白雪や雲が生み出す、水墨画に見られる「間」にあり、仏教の「輪廻、再生」といった精神性に通じるものとのこと。
シーズン・ラオ氏の作品コンセプトは人と環境の調和。作品は会場の雰囲気を取り込むインスタレーション表現となっている。先日、400年の歴史を持つ京都の瑞泉寺で初公開された『氷蓮図』は、石砂の枯山水の向こうに置かれた作品が、新緑が芽ぶく庭園と一体化するインスタレーションとなった。作品中の凍って止まった蓮の息が風に揺られて息づき、新しい芽吹きや花の蕾が新たな生命の誕生を感じさせたという。
偶然にも、今回作品に表されている「蓮」は、マカオ特別行政区の花で、マカオは仏教にも縁が深いエリアとなっている。今回、中国と日本の仏教の精神性が通じる光景となるインスタレーション作品とともに、北海道を拠点にした初期のラオさんの作品を含めて、12点の作品が展示される。10年前にマカオ理工学院を卒業し、日本とマカオの縁を重ねるラオ氏の作品を深く楽しむことができるだろう。
『氷蓮図』は、アメリカの美術館 バーモント・アート・センターとウィルソン・ミュージアム(6月29日~8月11日)でも展示される予定とのこと。
マカオ理工学院におけるシーズン・ラオ氏の個展開催日程は5月14日から5月20日までの午前9時から午後11時までで、入場は無料。