マカオの20年1〜8月累計カジノ税収7割減の約3000億円に…新型コロナ余波

 マカオ政府財政局が9月9日付で公表した最新の財政収支データによれば、今年(2020年)1〜8月累計の歳入は前年同時期から14.7%減の749億2914.6万マカオパタカ(日本円換算:約1兆0016億円)で、年度(1〜12月)予算執行率は68.3%だった。

 ただし、経常的収入に限ると64.6%減の302億7966.4億マカオパタカ(約4048億円)にとどまった。

 このうち、ゲーミング(カジノ)税収は70.2%減の228億0682.0万マカオパタカ(約3049億円)。年度予算執行率は45.6%で、歳入に占めるゲーミング税の割合は30.4%に。通常は歳入の約8割を占めるが、ゲーミング税収の大幅減に加え、財政準備からの補填分が資本的収入に計上(後述)されたことによって割合が小さくなった。

 歳出は11.7%増の554億5731.3万マカオパタカ(約7413億円)で、年度予算執行率は50.6%。経常性費用が20.2%増、資本性費用が37.2%減だった。

 財政収支は194億7183.3万マカオパタカ(約2603億円)の黒字、前年同期比では49.1%の大幅なマイナスだった。

 ゲーミング税はカジノ粗収益(Gross Gaming Revenue=GGR)がベースとなる(*註)。今年1月下旬以降、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行に伴う入境制限を含む防疫措置の強化等によってインバウンド旅客数が激減し、GGRを直撃した。1〜8月累計のGGRは81.6%の大幅減となる363.94億マカオパタカ(約4865億円)にとどまっている。

 なお、今年4月に新型コロナの影響を考慮し、カジノ税収の半減による歳入減と防疫・経済支援策による歳出増を見込み、財政準備から389.5億マカオパタカ(約5207億円)を補填する内容を盛り込んだ2020年度改正予算案が立法会で可決された。4月以降の財政収支データは改正後の数値が反映されるため、当初予算ベースだった3月までのものと比較して差異が生じている。

(*註)マカオのカジノに対する実効税率は約38〜39%。GGRの35%に加え、マカオファウンデーションへの拠出分として1.6%、インフラ・観光・社会保障基金への拠出分が2.4%(SJM社のみ1.4%)。

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の風景(資料)=2020年7月本紙撮影

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ政府旅遊局(MGTO)は4月29日、国際旅客誘致策の一環として昨年(2024年)実施した香…
  2.  マカオにとって最大の旅客ソースとなる中国本土で5月1日から5日までが5連休(「五・一」労働節ゴー…
  3.  マカオ政府統計・センサス局は4月28日、今年第1四半期(2025年1〜3月)の対外商品貿易統計を…
  4.  マカオ政府市政署(IAM)は4月25日、ユネスコ世界文化遺産リストにも登録されている観光名所「カ…
  5.  マカオで統合型リゾート(IR)を運営するSJMリゾーツ社(SJM Resorts, S.A.)は…

ピックアップ記事

  1.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  2.  マカオで統合型リゾート(IR)を運営するサンズチャイナと米国のホテル大手マリオットインターナショ…
  3.  仏ミシュラン社は3月13日、香港・マカオでも高い知名度と信頼性を誇る人気グルメガイド「ミシュラン…
  4.  マカオの新交通システム「マカオLRT(Light Rapid Transit)」の新線「横琴線(…

注目記事

  1.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  2.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  3.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  4.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
  5.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2025年5月号
(vol.143)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun