マカオ、10月のホテル客室稼働率が40%まで回復…前月から22.9pt上昇=中国本土との往来制限緩和進む中

 マカオは人口約69万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR(統合型リゾート)に加え、マカオグランプリをはじめとした大規模イベントが数多く開催されるアジア有数の国際観光都市として知られる。

 マカオ政府統計調査局発表資料によれば昨年(2019年)通期の訪マカオ外客数(インバウンド旅客数)は前年から10.1%増の延べ(以下同)3940万6181人で、3000万人の大台を6年連続突破するとともに、3年連続で最多記録を更新。しかしながら、今年(2020年)1月下旬から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)防疫対策の一環として入境制限が講じられたことを受け、インバウンド旅客数は激減。世界的な流行拡大に伴い、3月下旬からは水際対策が一層強化された。ただし、マカオと中国本土における流行状況が落ち着いてきたことを受け、7月15日から両地の間で水際対策が一部緩和(新型コロナウイルス核酸検査の陰性証明書の提示などの条件付きで14日間の隔離検疫を免除)された上、中国広東省珠海市居民及び広東省居民を対象にしたビザに相当するマカオ渡航許可(個人・団体観光旅行)の申請受付がそれぞれ8月12日、26日から再開、9月23日から中国本土全域に拡大したことが挙げられる。これと並行してマカオと中国各地を結ぶ海路、空路の交通アクセスも元に戻りつつある。10月のインバウンド旅客数は前年同月から81.9%減の58万1986人だったが、対前月では29.6%増。1〜10月累計では前年同時期から86.2%減の460万1090人にとどまっているものの、直近では対前月で6ヶ月連続プラスが続いている。

 マカオ政府統計調査局は11月30日、今年10月のホテル宿泊客関連統計を公表。同月の平均ホテル客室稼働率(新型コロナの影響で一時休業中及び隔離検疫用として政府が借り上げたホテルの客室分は含まず、以下同)は40.0%で、前年同月から48.3ポイント(pt)の下落となった。一方、前月からは22.9pt上昇。10月1〜8日の国慶節大型連休期間に限ると43.6%だった。

 ホテル等級別では、5つ星が前年同月から50.5pt下落の39.1%、4つ星が47.8pt下落の40.5%、3つ星が38.9pt下落の51.1%、2つ星ホテルが46.6pt下落の21.6%、ペンサオンが38.8pt下落の24.6%。なお、5つ星ホテルの供給客室数が10.3%減、4つ星ホテルが12.9%減、3つ星ホテルが変動なし、2つ星ホテルが41.9%増、ペンサオンが変動なしだった点も考慮する必要がある。

 今年10月末現在、マカオで営業中のホテル数は前年同時期から1軒減の120軒、供給客室数は7.8%減の3.54万室あり、このうち5つ星ホテルが2軒減の34軒で、供給客室数は全体の62.1%を占める2.20万室。

 今年10月のマカオのホテル宿泊客数は前年同月から62.8%減の43.8万人。前月との比較では倍増。マカオと中国本土との往来制限緩和により、中国本土旅客は前月から168.1%増となる35.8万人に。ただし、前年同月比では56.1%減。地元マカオ市民によるステイケーションブームが続く中、マカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)の宿泊者数は前年前月から13.6%増の5.7万人で、稼働率の下支えに寄与している。ホテル宿泊客の平均滞在時間は前年同月から0.2日延びて1.7日。

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の風景(資料)=2020年7月本紙撮影

 今年1〜10月のホテル客室稼働率は前年の同じ時期から66.0pt下落の24.6%、ホテル宿泊客数は76.0%減の281.9万人、ホテル宿泊客の平均滞在時間は0.2日延びて1.7日。

 参考までに、マカオの昨年通期の平均客室稼働率は90.8%だった、

 マカオ経済はインバウンド依存度が高い。昨年の総インバウンド旅客に占める中国本土旅客の割合は約7割だった。往来制限の緩和が進む中、中国本土からのインバウンド旅客の回復が見込まれることから、ホテル客室稼働率の上昇も含めた経済効果が期待されている。

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