マカオ、302日連続市中での新型コロナ感染確認なし…累計47人、死亡例ゼロ=現在入院中は1人のみ、容体安定
- 2021/1/26 8:44
- 社会・政治
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が世界各地へ拡大し、終息の兆しが見えない中、国際観光都市マカオでも状況の変化に応じた各種防疫対策が講じられている。
マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターは1月25日午後5時(現地時間、以下同)から週に一度の定例記者会見を開催。同日までマカオの市中における感染伝播事案は出現しておらず、輸入性または輸入関連性事案のみで、市中における感染確認は無症状感染者を含めて302日連続でゼロとなっている。輸入性事案に関しては3日連続ゼロ。
これまでの累計感染者数は47人で、45人が域外からの輸入性、2人が輸入関連性事案。院内感染、死亡例ともゼロとなっている。
目下、1人が公立総合病院にあたる仁伯爵綜合醫院(通称:山頂醫院)の隔離病室で入院治療を受けており、発熱や呼吸器系の症状や肺炎の兆候もなく、容体は安定しているとのこと。英国、南アフリカ、ブラジルで出現した変異種ウイルスではないという。患者は滞在先のドバイを1月19日に出発し、シンガポールと東京(成田)を経由して21日夜にマカオへ到着したマカオ人の女性(43)で、、空港における簡易検査で2度陽性反応が出たことから、仁伯爵綜合醫院へ搬送され、核酸検査でも陽性反応が出たことを受け、22日未明になって正式に感染確認が発表された。成田からマカオへ向かうマカオ航空NX867便で患者と座席が近かった8人が密接接触者として衛生局の施設で隔離検疫を受けている。1月21日には、患者のほか100人超の在外マカオ人が成田経由のマカオ航空NX861便、867便に分乗して帰郷している。患者と密接接触者以外の帰郷者とマカオ航空の乗員については、コロアン島にあるホテルで21日間の隔離検疫中。
マカオでは、外地からの新型コロナ流入防止を目的とした厳格な入境制限は維持されているが、マカオ及び中国本土における状況が落ち着いてきたことを受け、7月中旬から両地間の往来制限に関して緩和が進んでいる。すでに、中国本土の一部の中リスク地域(状況に応じて随時アップデートされる、詳細後述)滞在歴がある場合を除き、新型コロナウイルス核酸検査陰性証明の取得などの条件を満たせば隔離検疫なしで往来が可能となっている。
一方、英国で感染力の高い変異種が出現したこと、世界各地で14日間の隔離検疫後に感染が確認される例が相次いでいることなどを受け、昨年12月下旬以降、相次いで水際措置が強化されている。
具合的には、12月21日午後10時から中国本土及び台湾以外からの入境者に対する隔離検疫措置について、従来の14日間から21日間に延長。また、12月23日午前0時以降、マカオ入境前21日以内に外国に滞在歴のあるすべての中国本土、香港、台湾居民のマカオ入境が禁止に。1月21日からは、マカオ入境時の隔離検疫対象者について、隔離検疫期間満了後も自己健康追跡期間が設定された。隔離検疫期間はマカオ入境前の滞在地によって、14日間または21日間となっているが、隔離検疫期間満了後のそれぞれ少なくとも14日間、7日間が自己健康管理期間となる。自己健康管理期間満了予定日の1日前に新型コロナウイルス核酸検査を受け、その結果が陰性であれば自己健康管理措置が解かれるという。自己健康管理中は厳格な個人防疫措置を講じることが求められる。外国人の入境禁止措置も継続中。
昨年1月下旬以降、入境制限を含む厳格な防疫措置が講じられており、市民生活は不便を余儀なくされ、インバウンド旅客の激減に伴う経済への打撃も大きい。マカオ政府は水際対策と同時に、市民が1日1枚のマスクを確実に入手できるよう1月下旬からマスク有償配給制度が現在まで継続実施されているほか、毎年恒例実施している市民への現金配布の前倒しや電子商品券の配布、各種中小企業支援措置といった民生、経済支援対策にも乗り出している。1月27日から26回目のマスク販売期がスタートする予定。第19回までが10日に一度だったが、第20回以降は30日間の実施となっており、30枚1組で24マカオパタカ(日本円換算:約320円)。1枚あたり単価は初回から変わっていない。現在進行中の第25回の販売枚数は約890万枚、初回からの累計は約1.8億枚に上るとのこと。
このほか、今年第1四半期中にマカオへ到着する予定の新型コロナワクチンについて、政府はマカオ居民(マカオ居民IDカード保有者)、海外労働者(マカオ外地就労者身分証、通称「ブルーカード」保有者)、マカオの学校に通う非居民の学生を無償接種の対象とする方針が示された。
中リスク地域の指定は市中感染例の出現状況に応じて随時アップデートされ、マカオ入境前14日内に滞在歴がある場合、マカオ到着後、政府指定場所で14日間の医学観察(強制隔離検疫)を受ける必要が生じる。地域指定は社区と呼ばれる基礎行政区画など比較的細かく設定されてきたが、近日では大都市全域が対象となる例も出てきている。
マカオ政府による最新(2021年1月25日正午時点)の中リスク指定地域は下記の通り。
■河北省:石家荘市全域、廊坊市の固安県、邢台市の南宮市/隆堯県
■北京市:朝陽区酒仙橋街道大山子社区、順義区南法信鎮/高麗営鎮/勝利街道/南彩鎮/仁和鎮、北石槽鎮、趙全営鎮、大興区天宮院街道
■遼寧省:大連市全域、瀋陽市全域
■黒竜江省:綏化市、黒河市愛輝区、チチハル市昂昂溪区、ハルビン市香坊区/道裡区/利民開発区/呼蘭区、大慶市竜鳳区
■吉林省:通化市、長春市公主嶺市范家屯鎮/二道区/緑園区、松原市松原経済技術開発区/寧江区
■上海市:黄浦区外灘街道轄区(昭通路居民区含む)、南京東路街道轄区(貴西小区と中福世福匯大酒店含む)、宝山区友誼路街道轄区
マカオ政府新型コロナウイルス感染症対策センターでは、来月中旬に春節(旧正月)シーズンが迫る中、中国本土の各地で散発的な市中感染例の確認が続く状況を受け、マカオへの流入リスクを鑑み、不要不急の外遊を避ける、マカオで就労する中国本土出身のワーカーに対しては帰省を見合わせるようそれぞれ呼びかけている。