香港、3/24の新型コロナ新規感染確認数10人…市中感染は5日連続1桁、独ビオンテック製mRNAワクチンの接種一時中止に

 人口約750万人の香港では、昨年(2020年)11月下旬から新型コロナウイルス感染症の流行「第4波」が続いている。

 香港政府の発表によれば、3月24日午前0時時点集計の単日の新規感染確認数は前日から2人減の10人だった。3日連続で2桁。内訳は市中感染が横ばいの4人で、5日連続1桁、輸入性は2人減の6人。市中感染のうち感染経路不明は横ばいの1人で、10日連続で1桁を維持した。

 この日の市中感染者のうち1人が近日認知された香港島の西營盤地区にあるフィットネスセンター「Ursus Fitness」におけるクラスター事案に絡むもの。このフィットネスセンター関連の感染確認者の累計は151人となった。

 感染経路不明の1人は家配達員で、3月17日から体調不良が始まったとのこと。16日から20日にかけて20軒に配送し、10軒では配達と同時に客先の家中で家具の組み立て作業を行ったという。香港衛生当局では、この配達員の家族1人と配送用トラックに同乗していた運転手を密接接触者に認定し、家具の組み立てを行った客先の10軒、約10人を隔離検疫の対象とした。エリアは香港各地に分散しており、組み立て時間は10分から60分程度だったとのこと。

 輸入性は5人がインドから、1人がパキスタンからの入境者とのこと。

 過去14日間累計では、新規感染確認が289人で、その約77%を占める市中感染221人のうち感染経路不明は42人。ここまでの香港における累計感染確認数は1万1420人、退院者数は1万0963人、死者数は204人。

香港の町並み(資料)—本紙撮影

香港の町並み(資料)—本紙撮影

 3月上旬にフィットネスクラスターが発生し、大規模化したことを受け、近日は特定のビル(マンション)や区画を封鎖する局地ロックダウン手法を用いた強制検査が頻繁に実施されている。飲食店における深夜時間帯のイートイン禁止や1卓あたりの同席者を4人までに制限するソーシャルディスタンス措置、屋内外公共場所及び交通機関利用時のマスク着用義務、公共の場所での集まりを4人までとする集団制限措置についても3月31日まで延長。また、屋内外のスポーツ施設、ジム、エステ・ネイルサロン、マッサージ店、娯楽施設(劇場、テーマパーク、博物館、展覧会場、映画館等)、遊技場(ビリヤード場、ボーリング場、スケート場)、ゲームセンターは3月31日まで条件付きで営業、サウナ、パーティールーム、ナイトクラブ、カラオケ、麻雀店、プールは通知があるまでの期間営業停止となっている。

 香港では、2月26日から保健医療及び感染症対策業務の従事者、60歳以上、老人ホーム及び障害者施設の入居者と従業員、越境運輸及び港湾業務の従事者等の高リスク群を対象として新型コロナワクチンの接種計画がスタート。その後、3月9日から対象範囲が飲食店、市場、スーパー、交通機関職員、建設業関係者、学校教職員、観光業関係者などに拡大されたほか、中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製の新型コロナワクチンに加え、ドイツ・ビオンテック製のmRNAワクチン「Comirnaty」の接種もスタートしている。いずれも2回接種が必要とされるもの。16日から接種対象が再拡大され、新たに30〜59歳、香港以外で就学する16歳以上の学生、ホームヘルパーが加わり、対象者数は総人口の約8割となる500万人超に達している。

 3月24日午前、香港・マカオ両政府はプレスリリースを発出し、独ビオンテック製のmRNAワクチン「Comirnaty」の接種を一時中止すると発表。代理店の中国・複星医薬から「ワクチンの瓶の蓋部分に包装上の瑕疵があることが判明し、ビオンテックと同社が調査を開始した」とする通知があったためとのこと。同社は現時点において製品の安全性に問題は認められないとしているが、香港・マカオ両政府は、接種の安全性を確保する予防的措置として24日から当面の間、同ワクチンの接種を停止するとしている。

 同ワクチンは零下70度℃で保存、接種前に2〜8℃まで解凍した上で希釈する手間があり、また解凍後は5日以内に使用する必要があるとされる。香港政府の発表によれば、これまでに同ワクチンを15万回接種したとのこと。また、すでに解凍済みのワクチンが1万1000回分あり、大半が無駄になる可能性があるという。

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