マカオ、建設中・設計段階のホテルが37軒、約1.09万室分…2021年1Q=客室供給数は現状1.3倍の4.66万室規模に

 近年、マカオでは新興埋立地のコタイ地区及びマカオ半島の新口岸地区を中心に大型カジノIR(統合型リゾート)、ホテルを含む複合ビル等の建設ラッシュが続いている。コロナ禍でも状況に大きな変更はない。

 マカオ政府土地工務運輸局は5月6日、今年第1四半期(2021年1〜3月)時点で建設中のホテルが18軒、設計段階のものが19軒あり、供給客室数は前者が9092室分、後者が1783室分に上ることを明らかにした。昨年第4四半期と前年同時期との供給客室数を比較すると、建設中のホテルで5.63%増と34.20%増、設計段階で21.38%減と59.95%減となった。(エリア別内訳は文末のデータ参照)

 マカオ政府統計調査局の資料によれば、今年3月末時点で営業中のホテル数は前年同時期から3軒増の120軒(新型コロナの影響で一時休業中及び隔離検疫用として政府が借り上げたホテルの客室分は含まず、以下同)、客室供給数は5.8%増の3.57万室となっている。

 目下、新型コロナ防疫対策の一環として水際措置が強化される中、政府が一部のホテルを隔離検疫施設として借り上げている。通常とは異なる状況のため、参考のための比較とするが、今年3月末の数字に建設中及び設計段階の数を加えると、将来的にホテル数が157軒、客室供給数が4.66万室で、それぞれ約1.3倍規模となる。

 マカオのホテル開発をけん引するのがカジノIR運営会社だ。マカオ政府とカジノ運営コンセッションを締結するのは6陣営で、現行コンセッションの満期が2022年6月に迫っている。政府はコンセッションを延長ではなく再入札とする方針を示している。よって、2022年6月を跨ぐプロジェクトを計画しにくい状況にあることから、設計段階のホテル数に影響しているものとみられ、これから次期コンセッションの行方がある程度見えるまでの間は過渡期となりそうだ。

 マカオは人口約68万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IRに加え、マカオグランプリなどの国際イベントが数多く開催されるアジア有数の観光都市として知られ、一昨年の年間訪マカオ旅客数は過去最多の約3940万人、平均客室稼働率は90.8%に上った。

 しかしながら、コロナ禍に見舞われた昨年通期のインバウンド旅客数は前年から85.0%減の589万6848人(宿泊を伴う旅客の割合は47.9%)、ホテル客室稼働率は68.0pt下落の22.8%、ホテル宿泊客数は72.5%減の387.4万人(中国本土旅客に限ると71.9%減の276.0万人、占有率71.2%)にまで落ち込んだ。昨年9月下旬までにマカオと中国本土の間の往来制限が緩和されたことを受け、第4四半期以降はマカオのインバウンド旅客の約7割を占める中国本土旅客の戻りが期待されている。ホテル客室稼働率は昨年4月から9月まで1割台に低迷したが、10月以降は復調傾向にある。今年第1四半期の平均ホテル客室稼働率は前年同時期から3.6ポイント上昇の44.9%、3月に限ると前年同月から32.1ポイント上昇の55.3%。

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の風景(資料)=2018年2月ー本紙撮影

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の風景(資料)=2018年2月ー本紙撮影

【資料】
2021年第1四半期時点で建設または設計段階のホテルデータ(エリア別)
<マカオ半島>
・建設中:10軒 1194室
・設計段階:16軒 941室
<タイパ島>
・建設中:1軒 301室
・設計段階:1軒 126室
<コタイ地区>
・建設中:6軒 7761室
・設計段階:1軒 84室
<コロアン島>
・建設中:1軒 11室
・設計段階:1軒 457室

関連記事

最近の記事

  1.  マカオ司法警察局は11月22日、違法薬物密売及び使用の疑いで香港人の女(37)を逮捕したと発表。…
  2.  マカオ・コタイ地区にある複合リゾート「リスボエタマカオ(澳門葡京人)」併設のショッピングアーケー…
  3.  在香港日本国総領事館は11月22日、同月14日に澳門日本会に対する在外公館長表彰授与式が執り行わ…
  4.  マカオ市政署(IAM)は11月21日、マカオ半島のギアの丘(松山)に位置する史跡「松山軍用隧道(…
  5.  マカオ政府衛生局(SSM)は11月22日夜、同日マカオ域内で輸入性デング熱感染を新たに1例確認し…

ピックアップ記事

  1.  マカオ政府は6月17日、政府がコタイ地区の南東部に位置する約9万4000平米の国有地を活用し、約…
  2.  マカオで統合型リゾート(IR)を運営するサンズチャイナと米国のホテル大手マリオットインターナショ…
  3.  マカオの新交通システム「マカオLRT(Light Rapid Transit)」を運営するマカオ…
  4.  マカオのマカオ半島側とタイパ島を結ぶ4番目の跨海大橋となる「マカオ大橋(澳門大橋/Ponte M…
  5.  マカオ政府旅遊局(MGTO)が国際旅客誘致策の一環として今年(2024年)1月1日から実施してい…

注目記事

  1.  日本の三菱重工業は2月29日、マカオ政府公共建設局(DSOP)から、マカオLRT(Light R…
  2.  マカオ治安警察局は3月5日、東京などからマカオへ向かう航空機内で窃盗を繰り返したとして中国人(中…
  3.  日本も出場した女子バレーボールネーションズリーグ(VNL)予選第2週のマカオ大会が5月28日から…
  4.  去る12月23日夜、日本の歌手・近藤真彦さんがマカオ・コタイ地区にある統合型リゾート「MGMコタ…
  5.  豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノが目立つマカオだが、実は競馬、サッカー及び…
香港でのビジネス進出や会社運営をサポート

月刊マカオ新聞

2024年12月号
(vol.138)

マカオに取材拠点を置くマカオ初、唯一の月刊日本語新聞「マカオ新聞」。ビジネスと観光、生活に役立つ現地マカオ発の最新トピックを月刊でお届けいたします。記事紹介及び閲覧はこちらへ。

ページ上部へ戻る
マカオ新聞|The Macau Shimbun