マカオ、2021年10月のホテル客室稼働率は44.6%…対前年4.8pt上昇も対前月では4.9pt下落

 マカオは人口約68万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR(統合型リゾート)に加え、マカオグランプリをはじめとした大規模イベントが数多く開催されるアジア有数の国際観光都市として知られる。

 マカオの年間訪マカオ外客数(インバウンド旅客数)は一昨年(2019年)には延べ(以下同)3940万6181人に上ったが、昨年(2020年)は対前年85.0%減の589万6848人にとどまった。昨年1月下旬から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)防疫対策の一環として入境制限を含む厳格な水際措置が講じられていることが主要因。ただし、マカオと中国本土における流行状況が落ち着いてきたことを受け、昨年第4四半期以降は中国本土との往来制限の緩和が進み、新型コロナウイルスPCR検査陰性証明書の提示などの条件付きで隔離検疫が免除となったことから、今年5月にかけてインバウンド旅客の緩やかな回復が進んだ。しかしながら、中国本土では再流行が散発的に発生しており、状況に応じて「中リスク地域」指定が行われ、これに該当する地域からマカオへ入境する場合には、隔離検疫を必要とするなどの措置が講じられる。8月以降はマカオでも市中感染確認例が相次ぎ、中国本土側でマカオからの入境者に対する隔離検疫を必要とする状況も生じた。

 今年10月のインバウンド旅客数は前年同月から43.6%減、前月からも47.8%減となる32万8245人だった。対前月では2ヶ月ぶりの下落。前月から大幅下落に転じた要因として、9月下旬から10月初旬にかけてマカオで再び市中感染確認例(隔離検疫用ホテル内における伝播、輸入関連製事案)が出現したことを受けて水際措置の強化されたことが挙げられる。10月中旬以降、水際措置は段階的に緩和されたが、月初にあったピーク期の国慶節大型連休の集客が不発に終わったことが響いた。

 マカオ政府統計調査局は11月30日、今年10月のホテル宿泊客関連統計を公表。同月の平均ホテル客室稼働率(新型コロナの影響で一時休業中及び隔離検疫用ホテルの客室分は含まず、以下同)は44.6%で、前年同月から4.8ポイント(pt)上昇、対前月では4.9pt下落となり、2ヶ月ぶりマイナスに。

 ホテル等級別では、5つ星が前年同月から3.1pt下落の36.0%、4つ星が21.2pt上昇の61.7%、3つ星が0.5pt上昇の49.9%、2つ星ホテルが44.2pt上昇の64.1%、ペンサオン(ゲストハウス)が16.1pt上昇の59.0%。なお、5つ星ホテルの供給客室数が0.7%減、4つ星ホテルが4.2%増、3つ星ホテルが4.6%増、2つ星ホテルとペンサオンがが横ばいだった点も考慮する必要がある。

 今年10月末現在、マカオで営業中のホテル数は前年同時期から3軒減の116軒、供給客室数は0.9%増の3.57万室あり、このうち5つ星ホテルが1軒減の33軒で、供給客室数は全体の61.1%を占める2.18万室。

 今年10月のマカオのホテル宿泊客数は前年同月から1.0%増の44.4万人。中国本土旅客は5.6%減の34.0万人だった。地元のマカオ客は35.6%増の7.8万人で、ステイケーション需要とみられる。ホテル宿泊客の平均滞在時間は前年同月から0.2日延びて1.9日。

 今年1〜10月累計の平均ホテル客室稼働率は前年同時期から25.3pt上昇の49.9%、ホテル宿泊者数は94.3%増の548.0万人。ホテル宿泊客の平均滞在時間は0.1日延びて1.8日。

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の風景(資料)=2020年7月本紙撮影

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