マカオ、2021年11月のホテル客室稼働率は46.8%…対前月・対前年とも上昇

 マカオは人口約68万人、面積約32平方キロという小さな街だが、世界遺産やカジノを核とした大型IR(統合型リゾート)に加え、マカオグランプリをはじめとした大規模イベントが数多く開催されるアジア有数の国際観光都市として知られる。

 マカオの年間訪マカオ外客数(インバウンド旅客数)は一昨年(2019年)には延べ(以下同)3940万6181人に上ったが、昨年(2020年)は対前年85.0%減の589万6848人にとどまった。昨年1月下旬から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)防疫対策の一環として入境制限を含む厳格な水際措置が講じられていることが主要因。ただし、マカオと中国本土における流行状況が落ち着いてきたことを受け、昨年第4四半期以降は中国本土との往来制限の緩和が進み、新型コロナウイルスPCR検査陰性証明書の提示などの条件付きで隔離検疫が免除となったことから、今年5月にかけてインバウンド旅客の緩やかな回復が進んだ。しかしながら、中国本土では再流行が散発的に発生しており、状況に応じて「中リスク地域」指定が行われ、これに該当する地域からマカオへ入境する場合には、隔離検疫を必要とするなどの措置が講じられる。8月以降はマカオでも市中感染確認例が相次ぎ、中国本土側でマカオからの入境者に対する隔離検疫を必要とする状況も生じた。

 今年11月のインバウンド旅客数は前年同月から25.9%増、前月から244.1%増となる80万1300人だった。対前月では2ヶ月ぶり増。9月下旬にマカオの隔離検疫用ホテルの警備員の間でクラスターが発生(デルタ株)したことを受けて、再び水際措置が強化され、10月初旬にかけて新たな関連事案が出現したことから、年間最大の書き入れ時となる国慶節大型連休を含む10月のインバウンド旅客数に影響が生じた。その後は状況が落ち着いたことで、水際措置が従前水準まで緩和された上、11月にはマカオグランプリ、マカオフードフェスティバルといった大型イベントが複数開催されたこともあり、インバウンド旅客数の急回復につながった。

 マカオ政府統計調査局は12月29日、今年11月のホテル宿泊客関連統計を公表。同月の平均ホテル客室稼働率(新型コロナの影響で一時休業中及び隔離検疫用ホテルの客室分は含まず、以下同)は46.8%で、前年同月から2.8ポイント(pt)上昇。前月からも2.0pt上昇となり、2ヶ月ぶりのプラスに。

 ホテル等級別では、5つ星が前年同月から2.4pt上昇の44.1%、4つ星が4.1pt上昇の52.9%、3つ星が2.1pt下落の53.0%、2つ星ホテルが19.3pt上昇の43.4%、ペンサオン(ゲストハウス)が8.0pt上昇の42.7%。なお、5つ星ホテルの供給客室数が0.9%増、4つ星ホテルが2.9%減、3つ星ホテルが4.6%増、2つ星ホテルが横ばい、ペンサオンが1.7%増だった点も考慮する必要がある。

 今年11月末現在、マカオで営業中のホテル数は前年同時期から3軒減の116軒、供給客室数は0.6%増の3.53万室あり、このうち5つ星ホテルが横ばいの33軒で、供給客室数は全体の62.0%を占める2.19万室。

 今年11月のマカオのホテル宿泊客数は前年同月から1.3%増の48.1万人。中国本土からの旅客は2.9%減の39.3万人だったが、地元のマカオ客が25.6%増の6.0万人で、ステイケーション需要とみられる。ホテル宿泊客の平均滞在時間は前年同月から0.2日延びて1.8日。同月の中国本土からのインバウンド旅客数は対前年プラスを記録したが、内訳をみると日帰り旅客が64.8%増、宿泊を伴う旅客が11.2%減となっており、日帰り旅客の占める割合が15.0ポイント上昇の64.1%だった。

 今年1〜11月累計の平均ホテル客室稼働率は前年同時期から23.3pt上昇の49.6%、ホテル宿泊者数は80.9%増の596.1万人。ホテル宿泊客の平均滞在時間は0.1日延びて1.8日。

大型カジノIR(統合型リゾート)が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の風景(資料)=2020年7月本紙撮影

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